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テキスト・トゥ・スピーチとは?
テキスト・トゥ・スピーチ(TTS)合成システムは、書かれているテキストを音声に変換するもので、音声アシスタントで使用される技術です。PTW/SIDEでは、クライアントである大手ハイテク企業のTTSシステムで使用するデータを収集し、キュレーションしています。
TTS合成モデルを構築するためには、音声とそれに対応するテキスト、そして個々の単語の発音などのテキストに関する追加情報が必要です。このようなデータポイントは、自動的に音声を出力したり、テキストを正しく読み上げたりするモデルを学習させるための学習データとなります。TTSが使用されるアプリケーションは、スマートフォンやスマートスピーカー、視覚障害者向けの支援技術、駅や空港など、ますます増加傾向にあります。
TTSデータプロジェクトではまず、適格な言語担当を採用しなければなりません。候補者の大前提として、言語学、特に音声学と音韻論を正式に学んでいることが必要です。IPA(国際音声記号)などを使って、発音を書き起こした経験(大学の研究でも可)が求められます。また、募集する言語のネイティブスピーカーである必要があります。
さらに、クライアントが作成した、発音テープ書き起こしを主とするスクリーニングテストと面接に合格しなければなりません。
言語は地域ごとに違いがあることがほとんどです。ですがTTSシステムで使用するためには、地域ごとの言葉から特定の方言をできるだけ具体的に定義しなければなりません。データ収集の対象となる方言の選択においては、言語担当が以下のような項目を考慮して選択します。
また、TTSシステムには、対象となる言語の言語学的な定義が必要です。言語担当は、その言語内で出現する音素(各々の音)のセットを定義し、どのような音の組み合わせが有効であるか(音素配列論)を定義します。
システムはこの情報と学習データ(音声とそれに合うテキスト)を使って、文字を音素に変換する方法を学習します。目指すのは、どんな単語を入力しても自動で発音してくれるモデルです。しかし、残念ながらそう簡単にはいきません。特に、一般的でない単語や外来語、スペルが通常の発音規則と一致しない単語については、単語の発音を明示的に入力しなければならないことがあります。このような事例のスペルや発音はすべて、発音レキシコンと呼ばれる特別な辞書に入れられます。
TTSデータプロジェクトの次の段階では、声優が読み上げて収録するスクリプトを準備します。このスクリプトの目的は、言語で出現するすべての音素の組み合わせを入力することです。また、スクリプトの読みやすさにも気を配らなければなりません。さらに、、モデルに高品質の学習データを入力するために、スクリプトに含まれるすべての単語の発音をチェックし、レキシコンに発音を転記する必要があります。
TTSデータプロジェクトの最後から2段階目のステージは、音声収録です。そのために、対象となる方言のネイティブスピーカーである声優を探す必要があります。また、台本のセリフを事前に読むことができないため、初見で発音できる能力も必要です。
選出した声優には、私たちが事前にキュレーションしたスクリプトを収録してもらい、その録音に応じてレキシコンの発音をアップデートします(例えば、声優が発音する単語が必ず特定の方法になる場合、レキシコンに記載された発音を可能な限り一致させるようにアップデートします)。
SIDEは、世界中のTTS録音に特化したスタジオの認証やチームの立ち上げを専門に行っています。これまでに行ってきた音声収録の言語や場所は40以上に渡ります。
TTSのキャスティングと収録は、他の吹き替えとは大きく異なります。各文章は、厳密に均等に発音し、一貫したトーンとボリュームで読まなければなりません。また、自然に読み上げを行い、過度に演技的であってはなりません。これは、均一な学習データを確保するためです。このような工夫により、TTSの合成音声がより滑らかになります。
その後、言語担当が録音を評価し、音声がテキストと一致しているか、声優の発音がレキシコンに保存されているものと一致しているかを確認します。この段階で、必要に応じてレキシコンの項目を更新します。
工程はすべてクライアントツールで行われるため、評価段階でのデータの受け渡しはありません。オーディオの品質と正確性を評価した後はSIDEの業務はそこで終了します。そしてクライアントチームが新しい音声ファイルを使用できるようになります。 TTSはハイテク企業がアクセシビリティ機能を組み込む際により大きな役割を果たすようになってきており、SIDEはその一端を担うことができて嬉しく思っています。TTSのような技術を取り入れるための戦略立ては困難ですが、SIDEと一緒にTTS業務に取り組むことで皆様のビジネスにどのような影響を与えることができるか、無料でご相談を承っております。