ローカライズ
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継続的なローカライズ
全世界でゲームを発売する上で欠かすことのできないローカライズは、何十年も前から行われてきました。かつてのローカライズは、開発国の言語でゲームを開発し、そのテキストを他の言語でも利用できるように翻訳するというシンプルなものでした。しかしながら、近年のゲームではその遊ばれ方が変わり、タイトルは発売後も遊ばれ続ける限り何度もアップデートされるようになりました。この変化に伴い、ローカライズのプロセスもまた静的なものから動的なものへと変わっています。
継続的なローカライズでは、ゲームに新コンテンツが追加された際、ローカライズのための小規模アップデートをかけていくことになります。この戦略を実行に移すのは容易ではありませんが、慎重に検討すれば実行が可能です。PTWのローカライズ担当でシニアディレクターのLoreto Sanz Fueyoと、memoQのゲームローカライズエキスパートであるGábor Kovácsは、このトピックを取り上げ、継続的なローカライズを持続可能な方法で可能にするにはどうすればいいのか、その戦略について議論しました。
ローカライズチームを早期に関与させることで、開発プロセスにどのような影響があるか、誰が関与しているか、どれくらいの期間がかかるか、コストはどれくらいか、などを把握することができます」とLoretoは言います。この意見にはGáborも同意します。「ローカライズチームは、皆さんが考えもしなかったような質問をしてきます。良質な翻訳に要する時間を知らない人もいるでしょうから、早めに整理しておくといいですね」
実際、ライブゲームには定期的にアップデートが実施されるため、予定スケジュールをかなり前から把握し、リソースを事前に確保しておくことが重要です。序盤のアップデート、イベントのアップデート、DLC、週ごとのアップデートなど、どんなコンテンツであっても、すべての要素を考慮して初めてサポートが可能になります。そのためには、自動化と統合が不可欠です。「ファイルの流れをできる限り自動化することですね。ファイルは様々なソースで送られてきます。FTPに置いたファイルを使用したり、テキストをCMSからGitHubにエクスポートしたり、API接続を使用したりしますが、いずれもテキストをmemoQに送って処理します。つまり、コンテンツの種類に応じて、さまざまなソースからmemoQにテキストを直接送ることができるのです。自動化と統合ができなければ、これは大変な作業になります」と、Gáborは話します。
そして残念ながら、この自動化は簡単に崩れます。ログインの変更、2要素認証、IPアドレスの変更、他のシステムへの移行など… うまく機能しているはずのプロセスフローに支障をきたす原因は数多くあります。新しい統合形式のシステムを新たに使用すると、顧客からの早く納品してほしいという要望と相まって、統合の過程が崩壊する可能性があります。その時、このプロセスは手作業で管理する必要があり、時間もかかり、ミスも発生しやすくなります。ファイルの構造や命名規則に間違いが出やすくなり、ワークフローの整合性を維持するためにはわずかな変更であっても手動で管理しなければなりません。
機能的なワークフローを開発する過程では、文字数や行数、変数、改行、性別、タグなどに関わる技術的な配慮も要することになります。これらは通常、ファイルの設定で定義されます。しかし、具体的な内容については関係者同士の合意が必要です。「目標は、自分が受け取るファイルすべての構造を標準化することです。事前にすべてを設定しておきましょう。プロジェクトの途中で変更するのは面倒ですから」とGáborは言及しています。
Loretoは続けます。
「行のスペースも重要です。画面上の表示領域は限られています。オートラッピングを使用すべきか?フランス語のようにアンブレーカブルスペースがある場合は?最後の単語を次の行に入れるか?翻訳者や言語担当者が手動で改行を入れるか?画面上のスペースを考えて、1行を20文字と設定するか?それとも、ピクセル数で固定すべきか?これは前もって説明しておく必要があります」
継続的なローカライズのためには、いわゆる「ピボット言語」も考慮する必要があります。これは、英語以外のソース言語から英語に翻訳し、その英語を他の言語に翻訳することです。「例えば、韓国語からトルコ語に直接翻訳する翻訳者を探すより、韓英と英土の言語ペアを専門とする翻訳者を探すほうがはるかに簡単です。英語をプレースホルダーとして用いて画面上の表示を確認してから、実際に英語へ翻訳し、さらに他の言語に翻訳するというのが一般的なやり方です。ですが、2つのテキストデータベースを並行して管理することが課題になります。バージョン管理は難しいですね」とGáborは話します。
以上のように、ゲームの常時オンライン化が進み、収益構造が多様化する中で、継続的なローカライズはますます重要になっていきます。プレイヤーの興味や関心を維持するため、Games-as-a-Service(GaaS、サービスとしてのゲーム)には常にアップデートが必要です。また、GaaSは今年のゲーム売上予測の半分以上を占めています。アップデートは高頻度かつ少量で、毎週100ワード程度のアップデートが10~15言語に翻訳されているのが普通です。肝心なのは、できる限り自動化することです。CMSツールは、選択したCATツールに自動的に連携されることが理想的です。可能な限り自動的にアップデートを行うように設定することで、プロジェクトマネージャーの貴重な時間を手動の作業に費やさなくても良くなるでしょう。