アートワーク制作
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ゲームアート制作におけるインソースとアウトソース
ゲームアート制作を検討する場合、できるだけ早い段階でワークフローとチーム構成の概要を把握することが重要です:誰がどの作業を、どのように行うのか?
確立され、標準化されたイテレーションのサイクルを用いて、制作プロセスを通じてチームとオープンで頻繁なコミュニケーションを取ることに加えて、アート・アウトソーシングチームをどのような目的で利用するのか、それとも社内チームに任せるのか、明確な見通しを持つことが重要です。
この記事では、PTWと1518 StudiosのグローバルアートディレクターArturo Pulecioの知見と、IGDC 2023で行われた彼の最近の講演をもとに、ゲーム開発中に制作される2つの基本的なタイプのアートと、それらを社内で行うか社外で行うかを選択する際のさまざまな視点を掘り下げます。
制作プロセス全体を通して安心感を得るためには、プレイアブル・コンテンツの短期的な実用業務と長期的な美的業務とを区別することが重要です。
この区別にアプローチするための重要な方法の一つは、これを道の「分岐点」のように考えることです:短期的な実用業務を追求するアーティストと、長期的な美的業務をサポートするアーティストを配置する必要がある、ということです。多くの場合、これはディレクターやプロデューサーが、どの業務を社内で行い、どの業務を外注するかを決めることと重なります。どちらのタイプの仕事も、ゲームアートのアウトソーシングチームに任せられますが、開発者は自分たちのゲームに最適なものを見極めなくてはなりません。
基本的に短期的な実用業務は一時的な業務を指します:
長期的な美的業務は長く継続する業務です:
長期的な美的業務は、社内政治や技術的なゲームプレイの制約による変更など、ゲーム開発の背景で起こりうるすべての変更の影響を受けません。なぜなら、そういった変更は終盤に発生するためです。
キャラクターをデザインする際、「このキャラクターの特徴はヒゲだろうか?」などといった要素を考えます。「それとも彫りの深い顔?それとも緑のカラー?」ーこれらは 長期的な美的業務です。こういった要素はそのゲームの世界設定に関わる定義的な特性をもちますが、例えばゲームプレイのメカニズムやカメラの位置などとはまったく関係ありません。
特に、ゲームに視覚的な差別化が強く求められ、過密状態のゲーム市場でそのユニークなビジュアルが際立つ場合、長期的な美的業務の役割は過小評価できません。
同時に、その必要がない場合には、短期的な実用業務を長期的な美的業務に変えないよう注意すべきです。 例えば、まだ開発の初期段階で、さらなるイテレーション のリスクが高いような場合です。
Arturoは、チームがリソースを効果的に配分しているかどうかを見分けるのに役立つ例を紹介しています:
あるアートチームが、ゲーム内のエレベーターを3週間かけて磨き上げているところを想像してみてください。現時点では、それはまだテスト段階の「グレーボックス」なエレベーターに過ぎません。ここで疑問が生じます。まだ研究所全体や宇宙船全体が残っているのに、なぜこのアセットにそんなに時間をかけているのか?
アートディレクターは他のディレクターと話をして、スコープ分析する必要があります。このエレベーターの見栄えを5%良くすることは、この一要素を完成させるためにすべての時間とリソースを費やしているせいで手を付けていない、他のすべての要素と同等の価値を持つのでしょうか?また、アウトソーシング業者にこの作業を任せられはしないのでしょうか?
ゲーム開発者は自問自答しなければなりません:
どの業務をどこに割り当てるかにかかわらず、社内チームの感情を考慮し、彼らの仕事の重要性を確認することは大切です。
Arturoは、ある大型IPをフィーチャーしたゲームのアートディレクションに携わった際の話を披露しました。彼は、本当に「クールでかっこいい」キャラクターが外注に回され、社内のアートチームはキャラクターの進行の下位段階(あまり「クールじゃない」キャラクター)の作成しかできなかった時にどれほどがっかりしていたかを回想します。しかし、社内のアートチームにとってこの作業は依然として非常に重要なものでした。というのも、この下層のキャラクターは、プレイヤーの80%がゲームプレイ中に何度も遭遇することになるものだからです。こういったキャラクターは堅実で、かつ見た目も美しくなくてはなりません。
いずれにせよ、過重労働や切迫した状況を避けるには短期的な実用業務と長期的な美的業務の両方を単一のアートチームに任せすぎないことが重要です。チームは早い段階で、外注してもいいものと、内製のままでいいものを区別すべきです。これはゲームの核心部分を練り上げる作業の一つと言えます。
また、私たち外注業者の立場から言うと、私たちの仕事はパートナーのゲーム開発における選択について批評せず、パートナーの問題点を共に解決することです。ゲームの魂は常に開発者側にあるのです。
ゲームの短期的な実用業務と長期的な美的業務のどちらを社内で行うか、外注するかは、最終的には個々の開発者の選択です。ただし、チーム全員が最終的なプロジェクトに適切に貢献できるよう、できるだけ早い段階で慎重に検討すべきものです。
外注チームを選ぶ際、特に短期の実用業務を外注する場合は、2Dや3Dモデルだけでなく、技術アート、エンジン内ワールドビルディング、ルックデベロップメント、より専門的なスキルにも詳しく、開発プロセスを深く理解している専門チームを持つ外部開発パートナーを探しましょう。最終的に、経験豊富なパートナーはあなたが思う以上に多くの方法で開発を支援し、共にゲームの核心と魂に貢献するチームの一員になり得るでしょう。
この記事はシリーズのパート2です。パート1はこちら。
1518 StudiosはPTWブランドファミリーの一員であり、ゲーム開発者の制作パイプラインのあらゆるフェーズをサポートする大手アートサービスプロバイダーです。お問い合わせはこちらあなたの物語を世界に届けるお手伝いをさせてください。